【離断性骨軟骨炎て?】
Q:足関節が痛くなり受診したところ、離断性骨軟骨炎で手術が必要と診断されました。初めて聞く病名なのですが、どんな病気ですか?
A:「離断性骨軟骨炎」は「骨軟骨骨折」や「骨軟骨損傷」と言われる、関節の病気です。足関節では、踝(くるぶし)の間にある距骨の滑車と言う部分の関節軟骨が下の骨ごと剥がれてしまう病気です。1回の怪我で起こると「骨軟骨骨折」、怪我の覚えがなければ「離断性骨軟骨炎」、区別しなければまとめて「骨軟骨損傷」と言いますが、いずれにしても同じ病気です。「皹(ひび)」のような物から完全に離れてしまった物まで色々な程度があります。完全に剥がれて関節の中を動き回るようになると「関節鼡(ねずみ)」と言う病名になります。これは冗談ではありません。

【離断性骨軟骨炎は手術が必要?】
Q:足関節が痛くなり受診したところ、離断性骨軟骨炎で手術が必要と診断されました。手術をしなければいけませんか?
A:離断性骨軟骨炎は関節軟骨が下の骨ごと剥がれてしまう病気です。症状としては荷重時、歩行時に足関節の奥の方に痛みがあります。痛みのため日常生活に困難があれば手術の対象です。スポーツ時のみに疼痛がある場合には、スポーツか痛いのをあきらめるか、手術をするかになります。痛みが無く、偶然発見された場合は手術せず経過を観察します。要は痛みの程度、頻度ですから、我慢できれば経過観察、出来なければ手術と言うことです。

【離断性骨軟骨炎には、どんな手術をするの?】
Q:足関節が痛くなり受診したところ、離断性骨軟骨炎で手術が必要と診断されました。どんな手術をするのですか?
A:程度や範囲に応じて4種類の手術があります。手術法の決定は非常に難しいので、どれを選ぶのかは、手術をしてもらう先生に聞いて下さい。
1) 摘出術:剥離した骨軟骨片を取り出す手術。
2) ドリリング(穿孔術):剥離した骨軟骨片を貫いてドリルで下の骨まで幾つかの孔を開け、骨傷を新鮮化し刺激して、下の骨と遊離した骨軟骨片を癒合させる手術。
3) 骨軟骨片固定術:剥離した骨軟骨片を貫いてドリルで下の骨まで幾つかの孔を開け、その孔に骨釘(他の所から採取した自分の骨を釘上に形成する)や、可溶性のプラスティックの釘を打ち込み、下の骨と遊離した骨軟骨片を固定する手術。
4) モザイク(骨軟骨複合遊離移植):悪くなった骨軟骨片や下の骨を削り取って、膝などの他の関節から棒状の骨付き軟骨をモザイク状に移植する。
1)2)3)は骨軟骨片の場所により関節鏡で覗きながらやる鏡視下手術が可能です。一般的には1)か2)で、3)が出来る病院は限られ、4)はごく特殊な病院になります。
離断性骨軟骨炎の原因となる靱帯損傷がある場合には、靱帯形成術も同時にやる必要があります。

【離断性骨軟骨炎の術後は?】
Q:足関節が痛くなり受診したところ、離断性骨軟骨炎で手術が必要と診断されました。手術の後の治療とその期間について教えて下さい。
A: 離断性骨軟骨炎は手術3分に術後が7分と言われるほど術後の治療が難しい疾患です。要点はなるべく長期に体重を掛けず、なるべく早期から動かすことです。「体重を掛けるな」と指示すると、じっとしていて関節を動かさず、「早く動かせ」と指示すると、始めから足をついて体重を掛けてしまう患者さんが多く、簡単なようで難しいものです。いつから体重を掛け、いつから松葉杖を外して荷重歩行を許可し、いつからスポーツを許すかが大変重要で難しい判断です。この判断は患者の身体状況、活動状況、病気の範囲、程度、経過、手術時の所見、手術法や範囲、程度と多くの因子によって変わるので、手術した医師しか判断が下せません。本当を言うと、手術した医師にも正確な時期が分かるわけではないので、術後に患者を診察し、X線学的を見ながら調節していくのです。術後の期間は、一般的な摘出術やドリリングと言う手術で、6ヶ月近くかかりますが、外来通院は術後1週、2週、6週、3ヶ月、6ヶ月、1年の6回程度ですから、必ず手術をした医師の治療を術後も受けて下さい。