「健康相談室」
かかとの骨にとげのようなものが。
何ヶ月も痛みがおさまらない
59歳、女性。昨年秋にウォーキングを始めたのをきっかけに、かかとが痛むようになりました。レントゲンをとると、かかとのところに5mmくらいのトゲのようなものが出ています。消炎剤や注射もきかず、痛みがとれません。クッションをあてて歩いています。このまま治らないのではと不安です。
自然治癒する病気なので、あせらずに回復を待つのがよい
これは「踵骨棘」という病気で、特別な処置をしなくても、3か月〜3年で大半が自然治癒します。朝起きて足を着くと瞬間にかかとがズキッと痛み、あるきはじめると痛みは軽くなりますが、つづくこともあります。かかとの足底部の前縁、内側を押すと痛みます(圧痛)。
レントゲン写真を撮ると、かかとの骨(踵骨)の足底部の前方部に数mmの三角形をした骨の出っ張りがあることが多いようです。これを骨棘(骨のトゲ)といいます。痛みは、このトゲが直接関係しているというよりは、そこにある短趾屈筋という、足の指を曲げるための筋肉の付け根が、年齢的な変化によって炎症をおこし、痛むものと考えられています。年齢的には40歳から60歳に発症しやすく、ジョギングを始めたり、かかとをぶつけるような軽いけがで始まることが多いようです。多くは、起きたときの数分間で痛みが軽くなるので、特別な処置や投薬を必要としません。歩くときつねに痛むようなら、ヒールカップという軟らかいシリコンゴムのクッションを使います。歩かなくても痛みが常時あるようなら湿布、塗り薬、ときには内服薬を使います。どうしても我慢できないような痛みがあれば、数回ステロイドを注射することもあります。
欧米では少しでも早く治すために手術も行なわれていますが、多くが自然治癒することから、日本では手術をするケースはまれです。きちんと検査をして、悪性の疾患ではないとわかったのであれば、問題ないでしょう。極端な歩きすぎはいけませんが、日常生活で歩く分には回復に影響しないので、歩行を減らす必要もありません。40肩、50肩やテニスひじと同じで、のんびり構えて自然治癒を待ちましょう。ただし、歩けば歩くほど痛みが増す場合は、他の疾患ということもあるので、再度受診しましょう。