足の裏に慢性の痛みがある人
(日刊ゲンダイ2001/05/03 新サラリー族がかかりやすい病気の症状と予防・治療法から)
足底腱膜炎
スポーツによるかかとの酷使が原因。各種装具も
よく歩く営業マンに発症することも
スポーツ愛好家で足の裏に慢性の痛みがある人は足底腱膜炎の疑いがある。土踏まずを形成している腱などの集合体である足底腱膜に、使い過ぎによる細かい傷が発生することが原因。歩くのが苦痛になることも。特にスジの柔軟性が低下する中年世代に多い。
症状 一歩目にズキッと痛みが
立った時や歩く時などに足の裏が痛む。足に負荷がかかった時のみで、安静時には痛まない。「初期では起床時あるいはイスに長時間座っていて立つ時、一歩目にズキッと痛みが走ります.。2,3歩歩くと痛みはスッと消失します」(慶応大学医学部付属病院整形外科・井口傑講師)
痛む個所で多いのは、かかとのふくらみの前縁部(土踏まずに近い部分)。ここを指で押さえると圧迫痛がある。足の指を反らすと余計に痛む。
原因で多いのはスポーツによるかかとの酷使。特にランニングやジャンプなどを繰り返す種目をする人に多い。
長時間立っていたり、歩いたりする職業の人に出ることもある。炎症が進むと歩くのがつらくなる。
治療法超音波や低周波の理学療法
スポーツを休んで患部を安静に保つのが第一。併せて痛みや炎症を和らげる消炎鎮痛剤を患部に塗ったり湿布を張る。超音波や低周波などの理学療法を行うこともある。「仕事柄、立ったり歩いたりすることの多い人は、足にかかる負荷を軽減するために、かかとの部分を覆うヒールカップなどを装着します。柔らかいシリコーン製で歩行の衝撃を緩和できます」(井口講師)
痛みの強い場合は、2、3週間をメドに内服の鎮痛薬が出る。効果のない場合はステロイドの局所注射を2,3回行うと大抵痛みは消える。
以上のような処置をしても痛みがある場合は、一部を切除する手術をする。最近は内視鏡下で行う手術が登場してきた。「入院は2,3日で済みます。退院の翌日は休んで次の日からサイズの大きいゆるい靴をはいて出社することも可能です。革靴がはけるようになるのは術後3週間ほどです」(井口講師)
予防法スポーツの前にストレッチ
スポーツをする前は、立ってかかとを上げて足先にゆっくりと体重をかけるストレッチを両足2,3分ずつ行っておく。
扁平足など足の形に異常のある人は過度のスポーツは慎む。
「歩き方に独特のクセのある人は、土踏まずのアーチサポートや、かかとの傾斜を調整するヒールウエッジなどの装具を整形外科で入れると予防になります」(井口講師)
シーズン初めの運動強度はゆるめにし徐々に強くしていくことも有効だ。