シーズン初めに多いスポーツ障害
(日刊ゲンダイ2001/03/28 新サラリー族がかかりやすい病気の症状と予防・治療法から)
アキレス腱周囲炎
全力疾走やジャンプで痛むのが初期症状
スポーツ愛好家待望の季節到来だが、シーズン初めに多いスポーツ障害がアキレス腱周囲炎だ。足の使い過ぎで、アキレス腱の周囲に炎症が起ることが主因。走ることを伴う種目に発生しやすいが、慢性化するとアキレス腱断裂につながりかねない。
症状 進行すると歩行時にも痛む
久しぶりにスポーツをした数日後から、アキレス腱に沿った部分が痛み始める。初めは全力疾走やジャンプをしたとき、強く踏ん張ったときのみに痛む。「アキレス腱を包んでいる膜や周囲の組織が、使い過ぎで炎症を起こして痛むのです。」(慶応大学医学部付属病院整形外科・井口傑講師)
初期の痛みはそれほど強くないのでスポーツを継続しがち。すると次は走っているときに常時痛むようになる。さらに悪くなると、普通の歩行や階段の上り下りでも痛みだす。そのときアキレス腱を押さえると硬くなっているのがわかり、圧痛があるのが特徴。アキレス腱部分がはれる場合もある。
治療法入浴後にマッサージをする
スポーツを休んで患部を安静に保つのが第一。「安静にするとほとんどがよくなります。安静期間は重症度によって違いますが、2週間〜3か月くらい。圧痛が取れるまでです」(井口講師)
入浴後にふくらはぎやアキレス腱部分をマッサージするのもよい。患部の血行がよくなり、萎縮が取れる効果がある。「歩行時に痛みのあるケースでは消炎鎮痛剤や湿布薬を出します」(井口講師)
また通勤時はウオーキングシューズなど、かかと部分の厚い靴を履くようにする。革靴の場合は衝撃緩和材の入った中敷きを薬局やスポーツショップで求めて敷く。
重症で痛みが強い場合は2〜3週間ギプス固定をする場合もある。いずれにしろ安静期間が短かったり、治療が中途半端に終わると再発しやすく、それを繰り返すと慢性化しやすい。「慢性化すると治りにくくなり、患部が硬くなって、ダッシュなどの瞬発的なプレーで断裂する危険性が高くなります。」(井口講師)
予防法入念なウオーミングアップ
スポーツをする前に、ふくらはぎやアキレス腱を伸ばすなどして入念なウオーミングアップを行う。終了時はいきなり終わるのではなく軽めの体操などをするクールダウンも有効だ。「終了直後にアキレス腱付近のアイシングを行うと、使いすぎた部分の炎症が早く治まります。時間は5〜10分で十分」(井口講師)
シーズン初めの運動強度はゆるめにし徐々に強くしていくことも有効だ。